【熊本大と凸版印刷】熊本城の崩落した石垣修復 照合システムの正答率が9割に | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【熊本大と凸版印刷】熊本城の崩落した石垣修復 照合システムの正答率が9割に

 熊本大学大学院先端科学研究部と凸版印刷は、2016年熊本地震で崩落した熊本城の石材について、熊本大のコンピュータービジョン技術と凸版印刷のVR(仮想現実)作品「熊本城」を制作する際に取得したデジタルアーカイブデータを融合した「石垣照合システム」を使って、石材が崩落前にあった位置を照合した。この結果、事前に熊本市が目視で特定した結果と比較して約9割の正答率となった。照合結果は熊本市の熊本城調査研究センターに提供するほか、システムを飯田丸5階櫓の工事における石垣復旧設計に活用する。

石垣照合システム

 熊本地震で崩落した熊本城の石垣の石材は、城全体で約10万個に及ぶ。熊本大と凸版印刷は、17年に連携協定を結び、約3万個の石材の位置を自動的に特定するシステムの開発を進めてきた。
 システムは、熊本大が開発したICPアルゴリズムによる照合技術と、凸版印刷が持つ正確なデジタルアーカイブデータを使って、石材の輪郭などの特徴を比較し、崩落後の石材が崩落前のどの位置の石材かを特定できる。照合精度を高めるため、凸版印刷のアーカイブデータから各石材の形状の特徴を再現した画像データベースを作成した。
 飯田丸5階櫓の南面312個と東面159個の石材でシステムを使って照合した結果、熊本市が目視で特定した結果と比べ約9割の正答率となった。目視で判断できなかった43個の石材も新たに特定したほか、目視では別の候補が示されていた17個の石材も適切な候補を示した。

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