【地域に貢献】女性活躍支援ネットワーク「なでしこBC連携」 中四国を中心に積極展開中 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【地域に貢献】女性活躍支援ネットワーク「なでしこBC連携」 中四国を中心に積極展開中

 女性活躍支援に取り組む地域ネットワークの好事例として、「なでしこBC(Business Continuity)連携」が注目を集めている。『女性の視点で考える災害対応と事業継続』をコンセプトに、災害時に地域の枠を超えて協力体制を整えるため、徳島県・高知県・岡山県・和歌山県の建設業者などが設立した連携体で、「なでしこ連携パトロール」をはじめ、意見交換会や勉強会、各種訓練などを積極的に展開している。

中心となって活動する大竹組の 橋本工務部工事課長


 現在、会の中心となって活動している大竹組(徳島県)の橋本美春工務部工事課長は、「もともとは徳島県の井上組さんが女性活用を図る取り組みの一環としてスタートした。その後、賛同企業と災害時の連携を図る組織として、2015年2月に正式に設立し、(国土交通省)四国地方整備局とも協力関係を築いて取り組んできている」と話す。

 参加企業は両社と、徳島県の福井組、亀井組、北岡組、県西土木、倭麺工房、吉岡組、エス・ビー・シー、三木組、フジみらい、喜多機械産業、高知県の福留開発、山本建設、岡山県の奥野組、天野産業、和歌山県の丸山組、NAO企画の計18社で、各社に所属する女性の技術者・技能者、事務職員などと男性の約半数ずつで構成している。

連携会社の位置図


 四国では南海トラフ地震の発生が危惧されており、災害時の対応を担う地元建設業者は、より実効性の高い事業継続計画を策定し、大規模災害時などにかける災害対応力を強化することが求められている。橋本氏は、「個別業者では不測事態の対応に限界があり、地域の中で協力が可能な業者が連携することで災害対応力を向上させるとともに、災害対応に必要な燃料・資機材・食料などの相互支援のため、地域外の建設業者と相互支援の連携を図ることが設立の趣旨だ」と説く。

 具体的な活動内容としては、災害時に協力できる企業間による合同訓練のほか、連携した各社の相互理解(社員同士のコミュニケーションの形成・現場特性の把握)のため現場見学を兼ねた「なでしこ連携パトロール」、意見交換会・座学訓練・勉強会などを実施している。

 主要活動となっている「なでしこ連携パトロール」は、これまでに14回を数えており、直近では19年8月に高知県内で関係者約80人が参加して行われた。運営を担当した福留開発の担当者は、高知独特の防災施設・工事現場を視察し、女性目線のアイデアや取り組みで、より実効性の高い事業継続計画が策定できるよう、連携を深めていきたいと話していた。

 こうした取り組みが評価され、「なでしこBC連携」の「女性目線を活用したBC連携」が18年5月に事業継続推進機構(BCAO)のBCAOアワード2017・事業継続部門の大賞に選定された。BCAOは日本の事業継続(BC)について、普及と実践に貢献した個人・団体を毎年表彰しているもの。
 その選考に当たっては、「女性が要となりBCを推進する企業連携に、道路啓開などの視点で行政などの関係機関も加わって連携を深めたことは、大変ユニークで優れた取り組みであるとともに、個社のBCM(事業継続マネジメント)としても高く評価できる」とされた。
 また、18年度の活動実績をみると、「なでしこ連携パトロール」のほか、応急担架作成訓練、意見交換会、女性職員による情報収集・整理訓練、ICT現場学習会・炊き出し訓練などとなっている。

 19年の活動について橋本氏は「引き続き『なでしこ連携パトロール』を積極的に実施するほか、ミーティングの実施、Facebookによる情報発信の強化、BCAOの地域勉強会への参加など、精力的に活動を継続し、災害時などにおいて、地域に貢献できる『力強い建設業』であることを目指していく」と意気込んでいる。

2019年8月の「2019年度 第1回なでしこBC連携パトロール」

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