JR東日本が進めているJR中央線飯田橋駅の改良工事が大詰めを迎えている。ホームの抜本的な安全対策として2017年1月に工事を開始、新宿寄りにホームを約200m移設し、西口駅舎も建て替えて利用者の快適性を向上する。施工は鉄建建設・前田建設工業JVが担当。事業費は約100億円。7月12日に供用開始する。
これまでの駅ホームは曲線半径300mの急曲線区間に位置していたため、列車とホームの間に最大33cmの隙間があり、利用者の転落事故が発生していた。安全対策として転落検知マットや注意喚起の回転灯、放送設備などを設置していたが、抜本的な対策に踏み切った。
ホームを現在の位置から約200m新宿側に移設し、列車とホームの隙間を小さくする工事を実施。西口駅舎の建て替えやバリアフリー設備、東京都千代田区と連携して1000㎡の駅前広場の整備を進めた。
改良工事の最大の特徴は、ホームの移設個所が急勾配のため、軌道を最大528mm低下させ勾配を緩やかにすることだ。上下線合わせて約60回に分けて段階的に軌道を下げ、同時に現在のホームも使用しながら8段階に分けて下げる。移設が完了すれば隙間は最大で15cmに縮小し、列車とホームの間の「隙間」と「段差」が解消する。
ホーム移設を計画する範囲の一部は史跡区域(江戸城外堀跡)に指定されている。第三者の有識者で構成する委員会を開催し、文化財に配慮した計画となるよう検討を進めた。新西口駅舎1階のほか、駅構内(一部ホーム床面など)に江戸城外堀についての史跡を紹介する設備を設置する予定だ。
新西口駅舎の規模は、S造2階建て延べ2200㎡。多機能トイレやエレベーターなどのバリアフリー機能も備える。