【現場のDX化推進】パナソニックグループ「現場マルチネットワークサービス」提供開始 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

公式ブログ

【現場のDX化推進】パナソニックグループ「現場マルチネットワークサービス」提供開始

 パナソニックとパナソニックシステムソリューションズジャパンは、4月1日から新事業「現場マルチネットワークサービス」の提供を始める。同社グループは、無線ネットワーク構築や映像伝送技術、ソフトウェアやアプリ、カメラやセンサーなどのエッジデバイス、サポートなどのノウハウを持つ。新事業では、それらを活用した高精細・リアルタイムの映像伝送環境を、インフラ整備、製造業の工場、物流倉庫、プラント、商業施設などさまざまな現場に合わせて、企画、設計、構築、設置、運用、保守までまとめて提案する。

現場マルチネットワークサービスのイメージ図


 新事業の責任者である奥村康彦パナソニックシステムソリューションズジャパン副社長は、2月17日の会見で新事業の背景を「パナソニックは防災無線などで、70年以上も社会インフラで活用する事業を続けており、ノウハウの蓄積や全国にある約70カ所の拠点、約1100人の人員を持つ。これらを、現在の主な社会課題である労働人口減少、技術者の高齢化、防災・減災、テロ対策、より厳密さが求められる情報管理の改善に活用する。活用の形として、高精細・リアルタイムの映像伝送もできる無線ネットワークを中心に、さまざまな現場のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化の提案・支援を新事業で展開する」と説明した。

左から野口部長、奥村副社長、千秋賢一パナソニックシステムソリューションズジャパンパブリックシステム事業本部システム開発本部開発1部部長


 新事業名称の「マルチネットワークサービス」について、野口太一パナソニックシステムソリューションズジャパンパブリックシステム事業本部サービス事業企画部部長は「LTE、ローカル5G(第5世代移動通信システム)、Wi-Fiなど、無線ネットワークはいろいろな種類があり、現場のどのエリアでどの種類を使えば最適となるか多様なケースが考えられる。例えば大容量・低遅延の映像伝送が必要なロボット操作をするエリアであれば5Gが必要だが、別エリアではコストパフォーマンスを考えて既存の無線ネットワークを活用すべきかもしれない。マルチとは、そうしたいろいろな種類の無線ネットワークを使い分け、それらの間でデータ連携を実現することを表す」と述べた。

 サービスを提供する現場は、インフラメンテナンス、工場、物流倉庫、プラント、商業施設など多くの種類を想定する。野口部長は「サービスは物流倉庫の効率化から始めているが、山や海などの過酷な環境も想定している。そういった環境では、パナソニックの持つ防災無線などのノウハウを生かしたい」と補足した。

 従来のパナソニックの無線ネットワーク事業との違いについて「従来では難しかったリアルタイムでのデータ収集、分析、活用が可能になった。コストも削減し、従来の5分の1程度とすることを目標としている。特定の業界に特化した形式のネットワークシステムを提供するのみではなく、新事業では業界横断的なシステムにも対応することによって、さまざまな分野から顧客の利用を狙う」(野口部長)とした。

 新事業では、これまで高精細・リアルタイムの映像伝送に必要となる技術を、それぞれパナソニック内の別の組織で対応していた体制を改めて、新事業のために全体のハブ機能を担うネットワークサービス事業センターを新設する。
 さまざまな業界の現場を支援することから、新事業で共創するパートナー企業を、2022年4月までに10社集めることを目標とする。パートナー企業と使う実験場として、パナソニック横浜佐江戸地区でローカル5Gの実験局免許を総務省から取得し、ローカル5Gラボ(仮称)として公開を予定する。

ローカル5Gラボ(仮称)内観


 新事業を含めた、デジタルを活用する現場支援サービス「現場プロセスイノベーション」で、パナソニックは2025年累計売上1000億円を目指す。そのうち新事業は700億円を占める見込み。



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら