【中途採用で技能伝承】事業困難の協力会社から職人雇用 スエヒロ工業 | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【中途採用で技能伝承】事業困難の協力会社から職人雇用 スエヒロ工業

高い技能を持つ社員が増えることで受注拡大にもつながる


 防水専門工事業のスエヒロ工業(静岡県沼津市、櫻井弘紀社長)は、さまざまな理由で事業継続が困難になった協力会社の親方や従業員を自社の正社員として雇い入れる取り組みを進めている。担い手不足が問題となる中で、建設業からの退場者を1人でも減らしつつ技能伝承を支える取り組みとなりそうだ。

 同社は、従業員23人の防水専門の1次業者で、40社程度の協力会社(2次業者)を抱える。その多くは一人親方や親方を含め2-3人が所属する小規模企業となっている。こうした企業は、新型コロナウイルス感染症の拡大などで需要が急激に減少すると、たちまち経営難に陥ることが少なくない。

 こうした中で2020年3月に、協力会社の40歳の親方と従業員の計2人を正社員として採用した。21年3月にも同様の事情を抱えた45歳の一人親方1人を雇用した。

 専門工事業にとっては、技能職の正社員が増えると仕事の閑散期に財務的負担となる。このため、これまでは正社員技能者に独立を促す傾向があり、これが建設業の重層化を助長してきた。同社の取り組みはこの流れに逆行するものの、近年は機動的に動ける技能者の人数が元請けから評価されるようになってきている。高い技能を持つ社員が増えることで受注が拡大し、協力会社への安定的な仕事の提供にもつながると考えている。


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