【台東区の旧坂本小】26、27日に「棟下式」開催/96年の歴史に労い | 建設通信新聞Digital

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【台東区の旧坂本小】26、27日に「棟下式」開催/96年の歴史に労い


地元有志で組織する「入谷の記憶を未来に繋ぐ会」(福島泰樹会長)は26、27の両日、東京都台東区の旧坂本小学校で、竣工から96年間使われ続けてきた同校の今年3月からの解体に伴い、誰でも参加できるお別れのイベント「棟下式(むねおろしき)」を開く。棟下式は、建物への労いと感謝とともに、記憶の継承を目的とした式典で、上棟式に対する造語。閉校した1996年以降も地域の祭りや子どもサッカークラブの練習場などとして活用されてきた。関東大震災後の「復興小学校」の1校(同校は正式には改築小学校)で、表現主義的デザインなどが高く評価されている。棟下式では、最後の見学会、同校出身の劇作家・唐十郎氏主宰の劇団唐組による朗読劇上映、地元音楽倶楽部のコンサートなどが催される。



旧坂本小学校は1926年(大正15年)竣工で、RC造地下1階地上3階建て延べ4480平方メートルの規模を持つ。関東大震災後、当時の東京市で一斉に整備された復興小学校の初期の建築となる。アーチ型の扉、ボールト天井の階段室、外壁に出た柱型など表現主義的デザインが顕著で、復興小学校では講堂も含めて現存する最も古いとされる校舎の1つとして、歴史的遺産の価値も指摘されている。

1996年に閉校した後も、町会の行事や祭りの事務局、子どものサッカー練習場など地域コミュニティの場として親しまれてきた。その間、跡地について大学誘致や高層住宅、再開発などが検討されてきたがまとまらず、昨年3月、台東区議会で解体が議決された。今年3月から解体が始まり、10月の解体終了後、区としては暫定的に広場として整備し、地域の交流や安全を創出するとしている。

入谷の記憶を未来に繋ぐ会では、跡地利用が決まらずに解体が始まることを危惧して、同会の発足前から後の発起人らが、記憶が失われて地域の繋がりが希薄にならないように新しいコミュニティの創造を関係者に提案してきた。そして、同会を昨年11月に発足し、コミュニティ再生のスタートとして棟下式の開催を考えた。サイトでの署名活動、区との協議を経て校舎を使っての棟下式開催が正式に決まった。

26、27日は棟下式の最終イベントになるが、昨年末から棟下式の一環として参加者を募っての大掃除、校舎入口への誰でも自由に描き込めるメッセージボードの設置、解体した古材のレスキュー、ドローン撮影、実測調査などを続けてきた。メッセージボードには、「九州からかけつけました!」などたくさんの卒業生や地域住民が感謝の言葉を綴っている。棟下式は、住宅事業のポラスグループ(中央グリーン開発)とライフスタイルデザインのパッチワークスの商標登録で、今回のイベントでも両社が協力している。

両日はいずれも最後の見学会、坂本小学校関連映像上映会、ライトバルーン投光を予定。最終日の27日は、坂本町会音楽倶楽部のコンサート、地元法昌寺住職でもある福島会長のお別れセレモニーもある。

問い合わせはメール:iriya.commons@gmail.comまで。ウエブサイトはこちら(※こちらをクリック)。


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