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【45°の視線】建築史家・建築批評家 五十嵐太郎氏 寄稿 コロナ禍の危機にPerfumeはいかに空間を使ったか

最終更新 | 2022/05/18 11:47

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 コロナ禍が完全に沈静化したわけではないが、ようやく演劇やライブ、コンサートやスポーツなどのイベントを無人とせず、観客を入れて再開できるようになった。従って、以前のような状態に戻っていくのかもしれないが、コロナ禍だからこそ、さまざまな模索がなされ、特殊な形式でイベントが開催されたことも興味深い。
 例えば、最後の合唱によって、一斉に大量の飛沫が出るために、果たして年末に上演できるのかが疑問に思われていたベートーヴェンの交響曲「第九」。2020年の12月25日、筆者はみなとみらいホールにおいて、極めて異例なシフトの演奏を目撃した。
 通常、ハイライトの「歓喜の歌」では、最前列に独唱の4人が並び、背後にオーケストラ、一番後ろはひな壇状に合唱隊が整列する。しかし、このときは小編成となったオーケストラの後ろにソリストを配置していた。しかも、半数に厳選された合唱隊は、ステージ上ではなく、パイプオルガン前の高所の座席に互いのソーシャル・ディスタンスをとりながら、立っていたのである。指揮者がよく見えることを優先し、オーケストラ真横の2階席を取っていたが、本来は歌声を聴くには不利な場所が、最も声がダイレクトに届き、音に包まれるという珍しい体験をした(逆に最前席は、少し声が遠くなったはずである)。
 もう1つ興味深い試みだと思われたのが、音楽ユニットPerfumeのライブ「ポリゴン・ウェイヴ」である。21年8月に開催された映像は、アマゾン・プライム・ビデオで鑑賞できるので、チェックしてほしい。もっとも、編集された映像のみだと、実際はその場で何が工夫されていたのかは分かりにくいだろう。

◆巧みな会場構成とメディアアート
 筆者は22年1月、ぴあアリーナMMにおける「ポリゴン・ウェイブ」再演の当日券が出ていることに気付き、チケットが取れたので出かけた。会場に入って内部を見て驚いた。なぜなら、一番良い場所となる1階のアリーナフロアに席を設けず、中央のフィールドに観客を一切入れなかったからである。そして2階から4階までの階段席のみが使われていた。もちろん、売り上げを考えれば、アリーナまでいっぱいに埋めるのがセオリーだが、コロナ禍の人数制限によって、フルに観客を入れられないことを逆手に取った会場構成である。なお、チケット代はその分やや割高になり、1万円を超える外タレのアーティスト並みの値段になっていた。
 では、アリーナフロアに観客がいないとすれば、その巨大な空間をすべてPerfumeが使うことになる。実際、超巨大な長方形のステージがあり、そこからL字型に折れて、垂直に壁が立つ。またステージの周りは、迷路のような通路と3つの小ステージをちりばめる。

ぴあアリーナMM


 とはいえ、Perfumeのメンバーは3人である。バックダンサーはいるが、バンドもいない。巨大な空間を制圧するのは、コラボレーションを続けているクリエイター集団のライゾマティクスによる映像である。冒頭に登場する3人のやたらと長い影を見て、照明によるものなのか?と錯覚したが、映像はプロジェクションではなく、ステージの床や背面の巨大なLEDビジョンによって生成されたものだ(つまり、伸びる影の映像にあわせて、彼女たちが歩いていた)。ともあれ、階段席から見下ろすと、真下に巨大な映像が展開し、それにあわせてPerfumeが歌い、踊るライブなのだ。現代美術から流用したようなイメージも含むが、前衛的かつ幾何学的な映像は、メディア・アートの大衆的な表現と言えるだろう。
 そうした意味では、中途半端に観客をアリーナに入れても、彼らは床の映像を楽しむことができない。常時ならば、採算を考えて躊躇(ちゅうちょ)するプランだが、コロナ禍だからこそ挑戦することができたステージの実験である。あえて難を言えば、3人のダンスは、基本的にテレビの画面サイズのいつものパターンなので、立ち位置はステージの中心がほとんどであり、映像だけでなく、バックダンサーを含めて、人間がもっと空間の広がりを活用するフォーメーションの演出を増やしてほしかった。

(いがらし・たろう)建築史家・建築批評家。東北大大学院教授。あいちトリエンナーレ2013芸術監督、第11回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展日本館コミッショナーを務める。「インポッシブル・アーキテクチャー」「装飾をひもとく~日本橋の建築・再発見~」などの展覧会を監修。第64回芸術選奨文部科学大臣新人賞、18年日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞。『建築の東京』(みすず書房)ほか著書多数。



 

  

   

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