【記者座談会】太平洋セメントが石炭単価サーチャージ導入/日建連意見交換会、3年ぶり対面開催 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【記者座談会】太平洋セメントが石炭単価サーチャージ導入/日建連意見交換会、3年ぶり対面開催

A 太平洋セメントがセメント・セメント系固化材に対して石炭単価サーチャージ制度を導入した。その狙いは。

B 原材料・輸送コストの急激かつ大幅な高騰に対応し、セメントの安定供給のため、石炭価格の変動を販売価格に適時反映する。

C セメント大手各社はことしに入ってから値上げを実施している。その中で今回の制度の導入は、石炭をはじめとした原材料価格の動向が不透明な現状下で、新たな価格決定の在り方を業界全体に提起したようにも見える。

A 実際にゼネコン各社も最近の資材価格の高騰には頭を悩ませている。

B コロナ禍からの出口が見え始めた中で、この資材価格の急激な上昇という波が押し寄せてきた。鋼材の上昇など「下がる要素が見当たらない」「(価格上昇が)止まる様相を見せない」といった声も聞く。東京市場で棒鋼の価格が過去最高値を記録するなど「とんでもない状況になっている」と話す人もいる。

A ゼネコン各社は、そうした資材価格の高騰を請負金額に適切に転嫁・反映できているのだろうか。

C 民間工事はなかなか厳しいようだ。もちろん実際に契約するまでのタイムラグの中で一定の予測をもとに見積価格に反映するが、資材価格の上昇分をまともに“上乗せ”すれば、受注機会を逸してしまうリスクもある。

A ある種のジレンマを抱えているということか。

D ディベロッパーなどの発注者サイドも当初に想定した事業計画・収支を超えて資材価格の上昇分をかぶることになれば、ビジネスとして成り立たない。ゼネコン側としては「(発注者に)お願いはするが、どこまで受け入れてもらえるかは未知数」といった状況なのだろう。

セメント大手各社はことしに入ってから値上げを実施している

完全週休2日加速、縮まる受発注者の距離

 
A 日本建設業連合会が約1カ月にわたり、国土交通省各地方整備局などと全国9地区で開いた「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が終了したようだね。

B ここ2年はコロナ禍の影響によりオンラインで実施していたが、ことしは3年ぶりに対面形式での開催となった。最近は発注者サイドを含め、通信環境の整備が進み、オンラインでのやり取りも習熟度が高まってきたが、日建連幹部からは「やっぱり対面がいい」と率直な声が聞かれた。

C 一部を除き、支部総会後の懇親会も開かれた。歓談と飲食のスペースを完全分離するなど感染症対策を徹底していた。国交省のある局長は、直近の定例幹部会議の話題の一つが、意見交換会後の懇親会のやり方だったと明かし、会場の笑いを誘った。本番の会議はもちろん、より本音で話せる懇親会はやっぱりあった方がいいね。われわれ記者としても貴重な機会だしね。

A 今回の意見交換会では、どんな成果があったの。

B 特に顕著だったのは、週休2日の進展だろう。2024年度から始まる時間外労働の罰則付き上限規制への対応が急がれる中、土曜出勤という固定化された時間外を根本的になくす週休2日は、日建連としてもかなり重要視していた。なかでも土日閉所による完全週休2日が大きく進展し、22年度には北海道、沖縄を含めすべての整備局が試行工事を始めることになった。

C 複数の日建連幹部は年々、発注者との距離が縮まっていると感想を述べていた。ある局長は「日建連との意見交換会が好き。この間の要望はほぼ丸のみしてきた。これからも丸のみしていく」と笑わせたが、その真意は「受注者あってこその発注者」という信条にあったようだ。

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