【BIM2023⑫】ACSD社 600人以上の技術者がBIM活用を支援 | 建設通信新聞Digital

5月19日 日曜日

B・C・I 未来図

【BIM2023⑫】ACSD社 600人以上の技術者がBIM活用を支援

 三谷産業グループのベトナム法人「Aureole Construction Software Development Inc.」(ACSD社)は、日系建築関連企業からのBIMモデル作成の受託事業を強化している。最大の特徴は、建設系大学出身の600人を超えるベトナム人技術者が設計、施工で使う意匠、構造、設備の各種3次元モデルを作成することにある。15年近いBIMの実績とノウハウを生かす研究開発部門も設置し、提案型の受注活動も進めている。日本のBIMプロジェクトを支えるACSD社の最新動向を紹介する。

 2001年に設立したACSD社は、ベトナムに4拠点8事業所、東京に取引先向けの営業拠点を構える。一般建築、機械・電気設備、住宅設備、木造建築などに業務を広げ、100社以上の日系建設関連企業からBIMを含む設計・積算の各種データ作成を受託している。

 09年に日系企業による空調衛生設備の試行案件を受託したのをきっかけに、設備のBIM対応を開始。16年から建築でも属性情報の入力を含め設計、施工に必要なモデルを提供してきた。住宅設備や木造建築の依頼も増え、ゼネコン、サブコン、メーカーまで幅広く対応する。

 業務の特徴は、単なる図面のBIM化ではなく、ノウハウを生かした生産性向上の具現化にある。三浦秀平ACSD社取締役会長は「設備と建築のモデルを一括で受注すれば高精度に統合したモデルを提供できる」と説明する。また、ベトナム人技術者はさまざまなソフトを使いこなすほか2割が日本語で業務し、人材が枯渇する日本のBIMプロジェクトを支えている。今後も技術者を増やし、BIMマネージャーなどの高度な人材育成に力を入れる方針だ。

優秀なベトナム人技術者が各種モデルを作成する


 常に世界の最新動向に触れられるのも強みで、先行するプロジェクトや最新ツールの情報が入れば社内で試行する。実用化すれば顧客にフィードバックできるため、研究開発の専門部署を設置した。「今まではデータ納品が主な業務だが、独自の技術を持てば提案型の事業を展開できる」と、研究開発を今後の成長の原動力に位置づける。

 日本は都市から地方にBIMが普及しつつあり、中小企業や専門工事業の対応が課題となっている。「2次元からBIMへの転換は難しくはない。当社のノウハウを生かし、地方への普及と生産性向上をサポートしたい」と意気込む。



【B・C・I 未来図】ほかの記事はこちらから



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら