【記者座談会】総合経済対策が決定/万博建設費2350億円に | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【記者座談会】総合経済対策が決定/万博建設費2350億円に

◇国土強靱化実施中期計画の検討明記

A 政府は先日、総合経済対策を決定した。内容を振り返ってみよう。

B 財政支出は21.8兆円で、民間支出などを含めた事業規模は37.4兆円に上る。岸田文雄首相は決定後の会見で賃上げと投資を鍵に挙げ、日本経済をデフレから脱却させて成長軌道に乗せると表明した。

C 対策の裏付けとなる2023年度補正予算案は一般会計で13.1兆円となる。10日に閣議決定する予定で、20日にも国会に提出し早期に成立させたい考えだ。

A 所得税や住民税の定額減税が耳目を集めているが、肝心の国土強靱化はどうだったかな。

D 対策の5本柱の一つに位置付けられ、財政支出は6.1兆円、事業規模は6.3兆円となる。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の4年目分を確保し、引き続き取り組みを推進することとなる。5か年加速化対策後の切れ目ない取り組みに向けて、改正国土強靱化基本法に基づく国土強靱化実施中期計画策定への検討を進めることも明記された。

B 先の通常国会で改正法が成立して以降、実施中期計画の早期策定を求める声は根強い。加えて、5か年加速化対策は3年目までに全体事業規模の約7割に達したことから、実施中期計画の前倒しも求められている。具体化が加速することを期待したいね。

D 建設業関連では、建設技能者への適切な賃金支払いの確保に向けた建設キャリアアップシステムの改修、適切な労務費や賃金行き渡りの確保なども盛り込まれた。

C 準備の遅れが懸念される25年大阪・関西万博に関しては、会場整備を着実に進めるための必要な措置を講じるとした。全国的な機運醸成にも取り組む方針だ。

斉藤国交相は万博会場の夢洲を視察し、建設企業と意見交換した

◇現場環境改善へ取組推進

A その大阪・関西万博に関連しては、大きな動きが見られたね。

B 大阪府・市などで構成する2025年大阪・関西万博推進本部会議は1日、万博協会と大阪府・市万博推進局の会場建設費増額の精査結果報告を受け、増額を受け入れることを決めた。

C 会議では、万博協会と推進局がそれぞれ精査結果を報告した。いずれも、労務費と資材価格が高騰している昨今の情勢を踏まえれば、当初予算1850億円から2350億円への増額は妥当との見解を示した。

B 万博協会は今後も一層厳格な予算執行管理とコスト縮減に取り組み、今回を最後の増額とするよう努めるとともに、会場建設費の執行状況を定期的に取りまとめて公表し、予備費執行に当たっては府・市と事前に協議することも確認した。会場建設費は国と府・市、経済界で3分の1ずつ負担するもので、増額分の3分の1約167億円を府・市が折半して負担する。

A 懸案だった建設費の増額の決定は、開催に向けて大きな推進力となりそうだ。

C 3日には斉藤鉄夫国土交通相が、大阪市此花区夢洲の万博会場予定地を訪れ、大屋根リングの施工状況などを視察した。建設業者との意見交換も実施し、工区内へのストックヤードの整備や入場ゲートの増設など、現場環境改善に向けた取り組みを推進することを伝えた。

B さらに斉藤国交相は7日の閣議後の会見で「特に心に残ったのは、強い使命感を持って懸命に働いている現場の姿を国民の多くの皆さんに知ってもらえると、より一層士気が上がるという意見だ」と感想を述べた。

A われわれもこれまで以上に現場の取り組みを発信する重要性を感じている。

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