【日建設計、デンソーウェーブ】リアルタイム人流計測システム、プロトタイプ東京駅で適用 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

公式ブログ

【日建設計、デンソーウェーブ】リアルタイム人流計測システム、プロトタイプ東京駅で適用

滞在データに基づく空間改善提案のイメージ

 日建設計は、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)と協働し、人流のリアルタイム計測システムのプロトタイプを開発した。計測には3D-LiDAR(レーザー式測距装置)を活用している。カメラやビーコンによる従来の計測と比べ、より正確な位置検出ができ、個人情報も取得しないメリットがある。空間内の人流の定量的な評価を、課題抽出や改善提案、施設運用に生かし、空間の価値向上につなげる。

 開発したシステムは、空間の利用時間、利用人数などの実態に関するデータを計測し提供する。得られた情報は、施設の改修計画をはじめ、人流と連動した設備の省エネ制御などの検討に役立つ。リアルタイムな人流把握は、災害時の避難誘導やイベント時の混雑検知などにも効果的だ。

 今回活用した3D-LiDARは、物体にレーザーを照射して跳ね返ってくるまでの時間を基に、対象物との距離を計測し、3次元の距離計測や点群データを取得する技術だ。現時刻と前時刻の点群の差分を手掛かりに移動体を抽出しおり、停止しても移動体を見失わないようなポスト処理アルゴリズムを組み込むことで、人の移動と滞在を把握する際の負荷を軽減した。

 効果検証のため、東京駅八重洲口開発・グランルーフのペデストリアンデッキリニューアル工事に際して同システムを適用した。先行的に新しい植栽と什器を設置したエリアを設け、人流を分析したところ、通行のための空間が滞在空間に転用されていることを確認できた。この評価が約234mの長大なデッキ全域の工事実施という投資判断に貢献した。

 日建設計は、同システムを空間の改善提案などに活用していく。また、人流と連動した設備の省エネ制御への挑戦として、2024年に東京オフィス内で、滞在人数に応じた照明制御の検証を開始する予定だ。将来的に、国土交通省の「PLATEAU(プラトー)」やBIMの建物モデルとの統合も想定している。

 

【公式ブログ】ほかの記事はこちらから

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら