高砂熱学工業は、より早く現場に貢献できる人材の育成を目指し、2017年度から新入社員の研修プログラムを充実させた。実際の工事現場で職人が行う「施工」を自ら体験し、その詳細や手順を理解することで、施工を「管理」する側の技術者としての基礎固めを強化するのが最大の狙いだ。新入社員研修に実務訓練を取り入れたのは同社として初めての試み。
実務訓練を含む「新入社員技術実習」の場に選んだのは、全国建設産業教育訓練協会が静岡県富士宮市で運営する富士教育訓練センター。土木・建築の技能者を始め、いまではゼネコンなどの技術者も数多く学ぶ、建設産業界の人材育成の全国的中核拠点だ。とび、型枠、鉄筋、内装、測量、建設機械など、さまざまな職種の教育カリキュラムを備えているが、空調設備に主軸を置いた研修を手掛けるのは、同センターとしても初めての試みとなった。
センターを活用した新入社員研修の構想が浮上したのは昨秋のこと。同社とセンターは意見交換を繰り返しながら、半年以上をかけて今回の教育カリキュラムを作り上げた。
2週間にわたるプランでは、前半に既存のカリキュラムに基づく足場組み立てや構造鉄筋研修、重機危険作業、玉掛け危険作業などの建築工事実習をあて、後半に空調設備に特化した独自の配管施工実習を組み込んだ。
7月11-21日と8月1-11日の2回に分けて実施された実習に参加したのは、事務職を含む17年度入社の96人。専門の知識・技能を持った講師の指導の下、配管の溶接やねじ込み、冷媒用銅管のロウ付けなどに挑戦した。作業内容ごとに、KY(危険予知)活動も行った。実習期間中は、決められたスケジュールに従って宿舎で共同生活を行い、集団としての規律・連帯感・責任感も高めた。
高砂熱学工業のこれまでの新入社員研修は、首都圏での現場研修後に本社で技術研修を実施し、各店に配属するというプロセスだった。しかし、近年の新入社員の増加に伴い、研修に適した施工段階の現場が不足するなど、現場研修内容にばらつきが生じてしまうといった課題があった。そこで、現場施工に対する理解促進と研修内容の均一化を目的として、配属店での現場研修後に、もう一度全員を集めて合同技術実習を行うプロセスに切り替えた。
実際の工事現場で的確な判断を下すには、施工対象のディテールや作業方法を正しく理解しておくことが不可欠。そのためには「自分の手で実際に施工してみる」ことが最も有効とみて、実務訓練を取り入れることにした。同社は来年度以降も、富士教育訓練センターでの新入社員研修を継続する方針だ。
「今回、高砂熱学工業はそこを踏み切られた。資機材の大半を会社で用意していただくなど、さすが業界トップの企業と感心した」と小松原校長。そして「教育は即成果が出るものではなく、長い目が必要。1年目はどうしても手探りの部分があるが、お互いの信頼関係のもと、2年目、3年目とどんどんカリキュラムを進化させていきたい」と先を見据える。
今回の同社の試みには、空調業界全体への貢献という視点もある。小松原校長は「構築したカリキュラムを自社で抱え込むような意識はまったくなく、より良いものを作り、いずれは広く活用してもらおうと考えられている。頭の下がる思いだ」と語り、センターとしても空調業界の人材育成に協力していく方針を示す。
実務訓練を含む「新入社員技術実習」の場に選んだのは、全国建設産業教育訓練協会が静岡県富士宮市で運営する富士教育訓練センター。土木・建築の技能者を始め、いまではゼネコンなどの技術者も数多く学ぶ、建設産業界の人材育成の全国的中核拠点だ。とび、型枠、鉄筋、内装、測量、建設機械など、さまざまな職種の教育カリキュラムを備えているが、空調設備に主軸を置いた研修を手掛けるのは、同センターとしても初めての試みとなった。
センターを活用した新入社員研修の構想が浮上したのは昨秋のこと。同社とセンターは意見交換を繰り返しながら、半年以上をかけて今回の教育カリキュラムを作り上げた。
2週間にわたるプランでは、前半に既存のカリキュラムに基づく足場組み立てや構造鉄筋研修、重機危険作業、玉掛け危険作業などの建築工事実習をあて、後半に空調設備に特化した独自の配管施工実習を組み込んだ。
7月11-21日と8月1-11日の2回に分けて実施された実習に参加したのは、事務職を含む17年度入社の96人。専門の知識・技能を持った講師の指導の下、配管の溶接やねじ込み、冷媒用銅管のロウ付けなどに挑戦した。作業内容ごとに、KY(危険予知)活動も行った。実習期間中は、決められたスケジュールに従って宿舎で共同生活を行い、集団としての規律・連帯感・責任感も高めた。
高砂熱学工業のこれまでの新入社員研修は、首都圏での現場研修後に本社で技術研修を実施し、各店に配属するというプロセスだった。しかし、近年の新入社員の増加に伴い、研修に適した施工段階の現場が不足するなど、現場研修内容にばらつきが生じてしまうといった課題があった。そこで、現場施工に対する理解促進と研修内容の均一化を目的として、配属店での現場研修後に、もう一度全員を集めて合同技術実習を行うプロセスに切り替えた。
実際の工事現場で的確な判断を下すには、施工対象のディテールや作業方法を正しく理解しておくことが不可欠。そのためには「自分の手で実際に施工してみる」ことが最も有効とみて、実務訓練を取り入れることにした。同社は来年度以降も、富士教育訓練センターでの新入社員研修を継続する方針だ。
■空調業界全体に貢献 小松原校長
「今回、高砂熱学工業はそこを踏み切られた。資機材の大半を会社で用意していただくなど、さすが業界トップの企業と感心した」と小松原校長。そして「教育は即成果が出るものではなく、長い目が必要。1年目はどうしても手探りの部分があるが、お互いの信頼関係のもと、2年目、3年目とどんどんカリキュラムを進化させていきたい」と先を見据える。
今回の同社の試みには、空調業界全体への貢献という視点もある。小松原校長は「構築したカリキュラムを自社で抱え込むような意識はまったくなく、より良いものを作り、いずれは広く活用してもらおうと考えられている。頭の下がる思いだ」と語り、センターとしても空調業界の人材育成に協力していく方針を示す。