『建設通信新聞』 創刊70周年記念特集号 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

 建設産業は戦後、「高度成長期」「安定成長期」「低成長期」という3つの成長期のなかで、国民の安全・安心に貢献するモノづくりを通じて持続的成長を遂げてきた。昭和・平成そして令和の時代、建設産業の規模は日本の経済成長と連動する形で拡大した。ただその道のりは決して平坦ではなかった。戦後から令和まで、建設産業の変遷を社会の出来事と重ね合わせて見る。 
 70年前の1950(昭和25)年3月30日、『建設通信新聞』は創刊しました。創刊時の社名は建設通信社、紙名は『建設通信』でした。ルーツは27(同2)年に遡ります。同年に創刊した『日刊土木建築資料新聞』が源流です。しかし、同紙は戦時下の新聞統制で休刊。そして、戦後の昭和25年に新たな建設専門紙としてスタートを切りました。また、88(同63)年10月には社名を日刊建設通信新聞社、紙名題字を『建設通信新聞』と改め、現在に至ります。
 創刊当時は、戦後の混乱も収まりつつあり、各地で復興の槌音が響き始めていました。また、6月になると朝鮮戦争が勃発、その特需景気を経てわが国は空前の高度経済成長へとなだれ込んでいきます。本紙は、そうした経済のターニングポイントの年に船出しました。
 創刊号の1面、「発刊の御挨拶」に次のような記述があります。先行の同業紙に言及した上で「これら先進紙に敬意をもちながらも若干の物足りなさを感じて居りました。私共はその一部を埋めたいと念願して居るものであります。(略)吾が建設界の発展向上のため専心努力いたす決意であります」と宣言しています。その気概と姿勢は、本紙の変わらぬ指針であり、創刊以来その遂行・実践に努めてきました。
 わが国はこの間、経済的には高度経済成長、第一次・二次石油危機、日米貿易摩擦、プラザ合意、バブル経済と平成不況、不良債権処理、金融システム安定化、サブプライム問題、リーマンショックなど好不況の変転がありましたが、国づくりでは電力開発への貢献はもとより、新幹線、高速道路、河川・港湾整備、上下水道を始めとする社会基盤整備から街づくり、住環境整備まで、建設産業は生活にまつわるすべての場面に欠かせない存在として君臨しています。
 敗戦直後の焼け野原だった東京は、70余年の歳月を経て、いまや超高層ビルが林立し、世界に冠たる大都市に変貌しています。ここに至る街づくりの営みは、むろん全国津々浦々での活動の帰結と同義ですが、建設産業の足跡にほかなりません。
 建設通信新聞は、そうした戦後からの70年にわたる産業行政、企業経営を始め、建設産業界を取り巻く動向・変遷に同時進行で向き合い、是々非々で報道し、また論陣を張ってきました。その歩みは本紙の自負であり、誇りでもあります。今後とも、最近とみに溢れる、新聞社独自の視点をなおざりにしたような発表報道に拘泥(こうでい)することなく、持ち味の一つでもある調査報道などを駆使し、有益な情報提供に努めていきます。日刊建設通信新聞社の憲章は「すべては建設産業のために」です。これまで同様、建設産業界に欠かせない媒体として存在感を発揮できるよう、全社一丸で歩を進めてまいります。
 日刊建設通信新聞社は幾度も試練に直面しました。しかし、その都度、株主各社・各位、読者の皆さんに支えられてきました。現在では全国建設専門紙で最も多い全国12都市に支社・支局を配し、社員一同、新聞づくりに勤しんでいます。また、この創刊70周年を機に、4月から建設産業の「真価」「進化」「深化」「新価」をテーマに4部作での記念特集号を制作し、お手元にお届けします。令和時代の建設産業を多様な視点で詳述、展望します。さらに、紙面刷新を断行します。新たな事業も同時案内すべく準備中です。ご期待ください。

創刊70周年記念特集号第1集 建設産業の真価

創刊70周年記念特集号第2集 建設産業の進化

創刊70周年記念特集号第3集 建設産業の深化

創刊70周年記念特集号第4集 建設産業の新価