茨城県政策企画部は2月25日、つくばエクスプレス(TX)延伸構想の事業計画素案を公表した。東京方面と土浦方面を一体で延伸整備する場合の概算事業費は約3070億円と試算。このうち、土浦方面へ単独で延伸する場合は約1320億円を見込む。土浦延伸単独、東京延伸一体整備ともにB/C(費用便益比)は1を上回る。採算性も黒字転換する見通しで、特に一体整備であれば黒字化が早まることを確認した。
土浦延伸の計画区間は、つくば駅~新土浦駅の延長約10㎞。中間駅を1駅設けるほか、JR土浦駅に隣接して新土浦駅を設置する。概算事業費の内訳は、建設費約920億円、用地費約140億円、諸経費約170億円、車両費約90億円。
東京延伸の計画区間は、秋葉原駅~新東京駅の延長約2㎞。都心部・臨海地域地下鉄構想の検討状況などを踏まえ、JR東京駅の東側に駅を設けることを想定した。土浦、東京の両方面とも開業目標は2045年とした。
需要予測手法には、延伸効果をより地域の実態に合った形で反映させることができる応用都市経済モデルを採用した。1日当たりの駅間通過人数のシミュレーションでは、つくば~新土浦は約2万-2万6000人、秋葉原~新東京は約13万3000人となった。累積資金収支の黒字転換年は土浦方面単独が43年、東京方面一体整備が27年を見込む。
事業スキームでは、都市鉄道利便増進事業費補助の活用のほか、営業主体と整備主体が異なる上下分離方式の導入を想定した。
TX延伸を巡っては、県の「TX県内延伸に関する第三者委員会」(委員長・岡本直久筑波大社会工学域教授)による提言とパブリックコメントを経て、県として目指すルートを土浦方面とするとともに、JR常磐線と接続する駅を土浦駅とすることを23年6月に決定した。
一方、東京方面への延伸では、21年7月の交通政策審議会答申で、都心部・臨海地域地下鉄との接続も含めた事業化に向けて検討の深度化を図るべきと明記された。
都心・臨海地下鉄新線は、新駅の「東京(仮称)」から「有明・東京ビッグサイト(仮称)」に至る約6.5㎞を結ぶ計画。さらに、りんかい線(羽田空港アクセス線)と同地下鉄新線を接続することでTXと羽田空港を直結することも検討されている。