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中部地方整備局新丸山ダム工事事務所と大林組は20日、岐阜県八百津町と御嵩町に建設している「新丸山ダム本体工事」の現場で、ケーブルクレーン自律運転システムの実証実験を公開した。春ごろを予定する堤体のコンクリート打設での実用に向けて、約200m先、約100m下の目標地へ試験材料の砕石を運搬した。国土交通省や受注企業の関係者、報道機関ら約30人が見学した。 同事務所の松原克彦副所長は「本日の実証実験で現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいることを感じてもらいたい」とあいさつした。大林組の渋谷仁執行役員ロボティクス生産本部長は「ケーブルクレーンの自動化技術で人手不足の解消や技能労働者の負担軽減を実現する。この技術を継続的に開発し、高度化させていく」と述べた。
同工事では、骨材の製造からコンクリート打設までの一連の工程で自動・自律化を図る自律型コンクリート打設システムの実用化を目指している。打設能力や品質を保ちながら省力化・省人化を図る。
ケーブルクレーンは、18tつりの弧動式片側走行で、2基備える。径間は537m、揚程は160m。右岸に高さ47mの固定塔、左岸に移動距離134mの走行装置を設置し、堤体全域への直接打設を可能にしている。
このほか、高速通信技術(ローカル5G)を使った安全機能と揺動防止機能を搭載する。運搬時の水平方向の振れやコンクリート放出時の垂直方向への跳ね上がりをセンサーで検知し、揺れを相殺する動作を行う。
ケーブルクレーンは、全体の計画を司る施工管理システムCMS(Construction Management System)によって稼働する。i-Construction2・0に対応したシステムで、効率的な打設計画を自動で立案し、施工計画から品質管理までを一気通貫で担う。
新丸山ダムは、既存の丸山ダムをかさ上げし、機能を向上するダム再開発事業。本体工事は第1期、第2期ともに大林組・大本組・市川工務店JVが担当している。