◇社会資本と建設業界への理解に期待
A 自民党総裁選が来週金曜日に迫ってきた。
B 事実上の“次の首相”であり、早期解散となれば衆院選の顔を決める選挙になるので、当然、建設業界にも影響はある。まずはここ数年、横ばいで推移して安定してきた公共事業予算に対してどういう姿勢を示すかが注目だろう。この点についてはっきりと方向性を示している候補者はいないという印象だ。ただ、逆に言えば「コンクリートから人へ」とか公共事業を敵視した政策を“売り”にする候補者はいないということだから、少しほっとしている。
C でも、大臣の時に「改革」という名の下に極端な予算削減を進めようとした候補もいるから要注意だ。
D 例えば高市早苗氏は「令和の国土強靱化計画」を政権公約として掲げている。石破茂氏は、地方創生に長年取り組んでいて、知見もあり、首相になれば地方創生関連の政策が一気に動く予感がある。『防災省』の必要性も明言しているので、防災関連への関心も強いといえる。
B 公明党から国土交通相を輩出する流れが定着しているけど、首相が代わって公明党との関係性に変化が出れば、こうした慣例も変わってくるかもしれない。
C 中央官庁の官僚は、候補者それぞれと仕事で関係したことがある人も多い。官僚は特に、これまでの経緯や流れを無視して強硬に物事を進めようとする政治家を好まない傾向が強い。ある候補者は一緒に仕事をした時に大変だったという話を聞いていると、候補者の意外な一面を知れたりする。
D いずれにしても建設産業界としては、社会資本整備と国土強靱化の重要性や、業界が抱える課題とこれまでの取り組みをよく理解してくれる人が総裁に就いてほしいね。
◇並々ならぬ思い、独自色が重要
A ところで、相鉄グループの相鉄ホールディングスと相鉄アーバンクリエイツが「横浜駅西口大改造構想」を発表した。長く横浜市の玄関口として発展してきた西口の新たなまちづくりが始動したね。
E 横浜駅といえば、最近は東口のまちづくりが注目を集めている。6月には横浜駅みなみ東口地区で、約1.3haを対象とする市街地再開発事業の準備組合が立ち上がった。さらにみなとみらい21地区の開発の進捗(しんちょく)により、結節点である東口の存在感は高まっているような気がする。
F 確かに。横浜市は、7月に開いた横浜駅に関連するまちづくり懇談会で、「エキサイトよこはま22」(横浜駅周辺大改造計画)の計画更新に向けた検討状況を明らかにした。その中で駅前空間のコンセプトについて東口は、「都心臨海部の玄関口にふさわしい、魅力と活力が生まれ、“発信・発進”する拠点」、西口は「人が集いまちの回遊の拠点となる『ひとにやさしい空間』を作る」とした。
E 東口を“都心臨海部の玄関口”としたのには驚かされた。西口のまちづくり関係者にとっては悔しい思いもあったのではないだろうか。
A こうしたタイミングで発表された大改造構想には、相鉄グループの並々ならぬ思いを感じずにはいられない。構想段階だと思うけど、どのような発表だったのかな。
E まずは2020年代後半に相鉄ムービルの建て替えに着手し、40年代の将来像実現を目指して、段階的な開発を進める方針だ。特に目玉となるのは相鉄ジョイナス・高島屋横浜店が入る「新相鉄ビル」の建て替えになるだろう。
F 都市間競争が激しくなる中、いかに独自色を打ち出せるのかが重要になる。今後の展開を見守っていきたい。