福岡市は、福岡城跡天守台の学術的な発掘調査に初めて着手する。天守閣に関する資料の発見や、商工会議所の懇談会がまとめた復元的整備の提言といった機運の高まりを受け、建設当時の状況や改変の履歴などを探る。発掘に先立ち、4月30日から測量調査を開始した=写真。
福岡城は1601-07年にかけて黒田長政と父の黒田官兵衛が築城し、1957年に国史跡の指定を受けた。場内は本丸・二ノ丸・三ノ丸で構成し、場内面積は約41万㎡、濠を含めた総面積は約110万㎡となっている。47基あったとされる城内の櫓の大部分が解体などで失われ、現存する建物は多聞櫓(たもんやぐら)などのごく一部に限られる。
市は、2014年度に整備基本計画を策定し、石垣の修繕や櫓の復元に取り組んできたが、天守の調査は手つかずだった。本丸跡に残る天守台は東西約25m、南北約22mの石垣で、内部は穴蔵となっている。天守閣については毛利家の資料に「建てた」と記述がある一方で、設計図や絵図は残っていない。市は「存在は定かでない」としている。
25年度は測量、発掘、石垣、地盤調査を計画している。本丸から天守台にかけてドローンによる測量調査で平面図を作成した後、天守台の礎石周辺の発掘調査、石垣の構造・強度をレーダー探査で確認する石垣調査を並行して実施する。発掘調査終了後、ボーリング調査や圧密度調査などの地盤調査を行う。6月末までに平面図を作成し、7月までの発掘・石垣調査、26年1月ごろの地盤調査着手を予定している。25年度内に調査結果をまとめる。
測量は扇精光コンサルタンツ、発掘は市が担当する。石垣と地盤は、指名競争入札か見積もり合わせで今後決める。