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9月19日 金曜日

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【記者座談会】土木・建築学会が全国大会/平田前復興庁統括官が長崎県知事選出馬

◇CNやレジリエンス、次世代の建築・都市探る

土木学会全国大会の全体討論会


A 土木学会と日本建築学会の全国大会が先週、熊本市と福岡市でそれぞれ開かれた。今年の特徴は。

B 土木学会の大会テーマである「気候変動時代の土木イノベーション カーボンニュートラルとレジリエンスで創る持続可能な社会」について、池内幸司会長は「短期的な施策ではなく、100年後を見据えて取り組むべきだ」と強調した。

C 「九州から考える土木イノベーション~カーボンニュートラルを目指して~」と題した全体討論会では、今後どのように協力して実効ある対策を推進していくか、議論を深めた。特に、熊本の水文化を世界に発信する『ユース水フォーラムくまもと』の高校生2人が登壇したことは印象的だった。松本亨北九州市立大教授は、高校性たちの「水文化を発信する動画制作の際、受け手に共感してもらえるよう試行錯誤した。今後も学びを共有・発信したい」との考えに賛同していた。

D 日本建築学会の熱量も負けていない。「アジアから考える」をメインテーマに、アジアの玄関口として成長してきた福岡で、次の時代の建築・都市の姿を探った。
E 会期中に実施した街歩きイベントでは、九州大大学院の黒瀬武史教授と建築を学ぶ学生が案内役となり、福岡市主導のプロジェクト「天神ビッグバン」エリアを巡った。黒瀬氏は「入れ替わりの多いまちであり、新しく来る人たちに好きになってもらい、ここに帰ってきた人には良い場所だと実感してもらいたい」と話していた。

D このエリアでは最新ビルと古くからある特徴的な建物があり、新旧の建物が融合して、他の都市とは違う魅力が育まれてきた。街中では至るところで中国語が飛び交うなどアジアの活力を受け入れてきたことを実感したね。

◇国交省出身の首長、その辣腕発揮に期待

A 九州といえば、復興庁の平田研氏が統括官就任から2カ月で辞任し、長崎県知事選に出馬表明した。

C 平田氏には国土交通省時代にお世話になった業界関係者も多く、驚きの声が上がっている。これに伴い、国交省の天河宏文国土交通審議官が復興庁統括官を併任している。

B 平田氏は国交省で建設業課長を務めた後、出身の長崎県で2018年から副知事に就き、予想よりも長く23年まで務めたこともあって知事選出馬も噂されたが、結局、国交省に戻って来た。昨年6月には、持続可能な建設業の実現に向けて整備した第3次担い手3法の成立に不動産建設経済局長として尽力した。そうした実績に加え、実直な人柄もあって評価は高い。

D 地元からの信頼も厚いようで、今回の立候補には地元有志の打診もあったと聞く。中央省庁などともつながりのあるそうした人材がまた一人、人口減少や自然災害など、多くの課題を抱える地方自治体の長になることへの期待は大きいのだろう。

B 確かに首長には中央官庁出身者が多い。国交省出身も、いま思い付くだけで大森雅夫岡山市長、西脇隆俊京都府知事、難波喬司静岡市長、花角英世新潟県知事、最近は船の体育館で話題の池田豊人香川県知事、先日再選を果たした一見勝之三重県知事、宮下宗一郎青森県知事がいる。

A 自治体トップは一国の主。その責任は重く、地域経済の活性化や人命の危機にさらされる災害時には、辣腕(らつわん)を発揮し的確な対応が求められる。
E 陣頭指揮を執るからには、人間力や政策を実現する手腕と覚悟が必要なだけに、見識が備わった人材であるかどうかも含めて有権者の厳しい目が向けられる。健闘を祈りたい。

 

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