【国土交通省】発生土の有効利用率9割超えで着実に進展中の建設リサイクル 今後の課題は | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

公式ブログ

【国土交通省】発生土の有効利用率9割超えで着実に進展中の建設リサイクル 今後の課題は

 国土交通省は、2018年度で終了した建設リサイクル推進計画2014の目標達成状況と施策実施状況をまとめた。数値目標は、18年度実績(暫定値)が指標8項目のうち5項目でクリアした。建設発生土の有効利用率は90%に達し、80%以上とした目標を10ポイント上回っている。施策は、重点16施策のうち8施策が計画どおりに実施されており、建設リサイクルは着実に進展している。インフラの維持管理・更新時代到来に伴う建設副産物増大の懸念など、建設リサイクルを取り巻く社会情勢の変化に対応するため、国交省は次期計画の策定作業に着手した。
 1991年に制定された再生資源利用促進法の趣旨を踏まえ、国交省が最初の建設リサイクル推進計画を策定したのが97年。それ以降3回にわたって計画を定め、建設副産物の排出量・最終処分量で大きな割合を占めるアスファルト・コンクリート塊、コンクリート塊、建設発生土などを対象に、リサイクル推進施策を展開してきた。建設リサイクル推進計画2014は第4次計画の位置付けとなる。
 第4次計画の最終年度である18年度の実績は、「アスファルト・コンクリート塊の再資源化率」「コンクリート塊の再資源化率」「建設発生木材の再資源化・縮減率」「建設廃棄物の再資源化・縮減率」「建設発生土有効利用率」の5項目で、暫定値が数値目標を達成した。
 「建設汚泥の再資源化・縮減率」は2ポイント、「建設混合廃棄物の再資源化・縮減率」「建設混合廃棄物の排出率」は1ポイントそれぞれ目標に届かなかったが、水準はおおむね高い。
 同省総合政策局は「推進計画を初めて策定した97年当時に比べ、大幅にリサイクル率が向上している。建設リサイクルの取り組みが着実に建設工事の関係者間で浸透してきた」と現状を評価する。18年度実績の確定値は年度内に公表する。
 重点16施策の実施状況に目を移すと、一部で改善の余地が見られた。建設発生土を官民が相互に有効利用するためのマッチングシステムは、国交省が15年に試行を始めたが、19年3月までにマッチングが実現したのは29件、約27万m3にとどまる。公共工事、民間工事の発注者のどちらも制度の認知度が低く、マッチングの参加者数が伸び悩んだ。
 再生資材の利用を促進する取り組みは、東京都が地方版の建設リサイクル推進計画で再生資材利用率の指標を設定するとともに、民間団体などを対象とした基準認証制度と施設認証制度を構築したが、この動きは東京都だけにとどまり、全国的な広がりに欠けた。国交省は、重点16施策を今後評価する方針で、改善の余地が見られた施策は実施手法などを見直す。

次期計画策定作業がスタートした建設リサイクル推進施策検討小委員会

 次期計画の策定作業も並行して進める。11月29日に開いた「建設リサイクル推進施策検討小委員会」で、次期計画の主要課題に▽建設副産物の高い再資源化率などの維持▽循環経済社会形成へのさらなる貢献、社会資本ストック維持更新時代到来への対応▽建設業の生産性向上に資する対応–の3つを挙げた。
 数値目標は、建設汚泥の再資源化・縮減率は第4次計画より高め、その他の項目は維持するとの方向性を示した。
 新規の重点施策には、再生資材利用率の目標指標化検討や、建設リサイクルガイドラインを改正して事業計画段階から建設副産物の発生抑制を徹底することなどを検討する。
 次期計画は20年度のスタートとし、リサイクル率が大きく向上していることから、5年としていた計画期間は最大でおおむね10年程度に伸ばす考え。20年度上半期に取りまとめる。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら