【豊かに働く】自律型人材育成へ「1on1」 パシフィックコンサルタンツの新しい働き方推進部 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【豊かに働く】自律型人材育成へ「1on1」 パシフィックコンサルタンツの新しい働き方推進部

 パシフィックコンサルタンツは2030年を目標とする「グループビジョン~100年企業に向けて」の具現化へ20年10月に組織体制を大きく変更。この中で「新しい働き方推進部」を設置し、『パシコン・ワークスタイル』確立に取り組む。

 藤原憲男部長は「ただ働きやすければいいわけではない。持続可能な社会に貢献し成長と幸せを感じられる働き方を実現することが結果として経営目標の達成につながる」と目指す方向を語る。

 複雑化する市場や予測困難な社会変化に対応するには自ら考え行動する「自律型人材」が必要であり、多様な人材が活躍できる多様な働き方が不可欠となる。建設コンサルタント業界のリーディングカンパニーとして、いち早くワークライフバランス(WLB)に着目しD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)経営を推進。その旗振り役を担ってきた同部マネージャーの飯島玲子氏は、今般のコロナ禍を「人と人がどう向き合っていくかという基本的なことを改めて見直す機会となった」とし、もう一人のマネージャーである油谷百百子氏も、一気に普及したテレワークを経験して「従来からの課題や今後加速すべき取り組みが浮き彫りになった」と捉えている。

左から油谷マネージャー、藤原部長、飯島マネージャー


◆3つの柱を据え、多様なメンバーがひとつに
 部の立ち上げから6カ月の議論を経た3月末、目指すべき働き方の方針を固めた。多様なメンバーが一つになってチームで輝く『TEAM PACIFIC』をキャッチフレーズに、「属人化を脱しチームで成果を出す働き方として“チームワーク”、時間と場所を選べる働き方として“ベストミックス”、持続可能な社会へ貢献し成長と幸せを感じる働き方として“ウェル・ビーイング”の3つを柱とした」と藤原部長。

 これを実現するため、4月には重永智之社長を座長とした「新しい働き方推進プロジェクトチーム」も発足。「業務プロセス」「風土・文化とコミュニケーション」「制度」「環境・ツール」の4分科会で今後推進する具体施策の検討を進めている。
 チームメンバー28人は「入社2年目から最年長でも40歳ぐらいまで。大半は20代から30代前半」(飯島氏)とあえて若手を登用した。上司や先輩に忖度(そんたく)ない議論とともに「テレワークにしても若い人たちは柔軟に対応し時間をうまく使っている。その知恵にも期待している」と油谷氏は狙いを話す。

 今後、7月にチームとして意見集約し、事務局を務める同部でのとりまとめを経て10月にはアクションプランを成案化する。先行してバーチャルオフィスなどのトライアルも開始。「調達から納品まで、自分たちの業務プロセスを細分化して確認しているチームもある」(藤原部長)という。

 業務の進め方を細部まで見直し、誰がどの役割を担っているか明確にしてチーム全員が共有することでタスクの内容や進捗に応じてもっとも効果的な時間と場所を選択でき、生産性とともに成果品の質的向上につながることが期待できるというわけだ。

 そこで問われるのが「人と人との関係性であり日ごろからの信頼関係」だと飯島氏は強調する。そのための取り組みが昨年10月からモデル試行を開始した「1on1(ワンオンワン)」だ。「一人ひとりの成長と組織パフォーマンスの向上」を目的に、自律型人材育成に向けてマネジメントシステムを変革し、対話により相互理解と信頼関係を高める試みとなる。

◆面談は部下の「話したいこと」がテーマ
 具体的には「上司が1対1で部下と向き合う時間を毎月30分程度セットする。部下の話したいことがその日のテーマになる」(油谷氏)という。モデル試行には延べ600人が参加。上司に対するアンケートではやって良かったとする回答で「部下への理解が深まった」が9割、「部下の成長に役立った」も7割に達した。部下からの回答でも「意識や行動を変えたという人が5割いる。試行期間で4、5回の面談にもかかわらず半数以上の人が行動まで変えるのはすごいことで10月から本格導入したい」と飯島氏は意気込む。

 より付加価値を生む空間としてメインオフィスの再整備も今秋以降本格化する。役員個室の一部や本部長個室を廃止しグループアドレスやキャプテンデスクを導入することで部門間連携を強化。廃止した個室はウェブ会議室やプレゼン向け会議室に活用する。執務スペースにはコミュニケーションエリアの創設も検討している。



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