【ExData】「実世界データ」 高効率圧縮で保管 | 建設通信新聞Digital

9月16日 火曜日

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【ExData】「実世界データ」 高効率圧縮で保管

永田代表

 カメラやセンシング技術の進歩により、稼働中の施設などから詳細なデータが取得可能になりつつある。一方、こうした「実世界データ」のサイズが膨大となり、保管しきれず破棄を余儀なくされる問題も生じている。ExData(名古屋市、永田吉輝代表取締役)は、この問題解決に向けてデータ圧縮技術の開発を進めている。永田氏は「データ圧縮が、保管コスト削減とデータによる価値創出につながる」と意義を語る。

 同社は河口信夫名古屋大教授の研究室の研究成果を社会実装するために設立された。永田氏が実世界データに着目したきっかけは、同研究室で中部国際空港の人流データなどについて研究したことだった。コストや整理の煩雑さなどを理由に、ある交通機関から「数カ月で運行データを破棄せざるを得ない」との悩みを聞き、問題の深刻さを認識した。

 この問題に対し、同社と同研究室は情報通信研究機構(NICT)の委託研究でデータ圧縮技術「SemantiPack(セマンティパック)」を開発した。CSVやJSONなどテーブル構造のある形式の実世界データを構造や意味に合わせて圧縮することで、従来の圧縮技術と比べて圧縮率を16-23%改善した。圧縮の可逆・不可逆を選択できる。センサーで計測した温度、湿度、加速度などの数値、交通や移動に関する時系列位置情報、施設の稼働記録などで特に効果を発揮する。

SemantiPack概念図


 今後は現段階のクローズドベータから2025年中のオープンベータ版公開、早ければ26年度の正式版提供を目指す。圧縮対象となるデータに合わせてセマンティパックをチューニングし、削減したデータ保管コストなどに応じた報酬を得るビジネスモデルを想定する。工場やインフラ施設、交通機関などから、テラ、ペタバイト単位の実世界データを扱う企業や官公庁を主な顧客に見込む。

 技術面では、高効率圧縮できるデータ形式の拡大を課題に挙げた。現在は監視カメラなど映像データへの対応に取り組む。そのほかデータの可視化・分析システムとの連携強化も目指す。「セマンティパックの圧縮技術では、データの意味をメタデータとして付与し高効率圧縮を実現している。このメタデータは可視化・分析にも有用だ」とシナジーを期待する。

 

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