【11月にも方針正式策定】庁舎移転・まちづくりに機運高まる 品川区大井町駅周辺のこれから | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【11月にも方針正式策定】庁舎移転・まちづくりに機運高まる 品川区大井町駅周辺のこれから

 東京都品川区の大井町駅周辺で、行政や民間によるまちづくり検討が本格化している。区庁舎の移転改築事業を契機にJR東日本と区は、土地再編を含むまちづくりの協議を深めている。区がまとめた「大井町駅周辺地域まちづくり方針(素案)」には、各街区をつなぐ歩行者デッキ整備や道路の改良・新設の構想を盛り込んだ。

まちづくり方針(素案)位置図


 区は7月13日、品川区庁舎機能検討委員会の初会合を開いた。委員長に早川誠立正大法学部法学科教授、副委員長に藤井敬宏日大理工学部交通システム工学科教授と吉田敏産業技術大学院大学教授・産業技術専攻長が就いたほか、区内関係団体や区議会議員、5人の公募区民らで構成する。

◆24年度着工へ庁舎機能検討
 庁舎の移転候補地は既存庁舎より駅に近く、アリーナ、区民ホールなど集客施設との複合化も視野に入れている。一方で、区議会議員からは「庁舎改築が大井町駅再開発の推進の材料にされている」など、区民意見が反映されないことへの批判も挙がっていた。

 検討会では現庁舎の課題を洗い出して、求められる庁舎機能を整理する。2021年3月ごろまでに5回程度開く。検討会の運営支援などは山下PMCに委託している。

現庁舎


 21-23年度で基本構想・設計を進めて、24年度に新庁舎建設に着手する見通し。26年度の竣工、27年度の移転を目指している。

 庁舎の移転先は、既存庁舎(広町2-1-36)に隣接するJR広町社宅跡地(現スポル品川大井町)、敷地約8300㎡が第一候補地となっている。区とJR東日本は18年7月、まちづくり推進に関する協定を結んだ。既存庁舎、スポル品川大井町、劇団四季などが立地する「広町地区」を対象に、土地の再編などを協議していく。

スポル品川大井町(奥に現庁舎)


土地利用の現況

 JR京浜東北線、東急大井町線、東京臨海高速鉄道りんかい線が乗り入れる大井町駅は、乗降客数が増加傾向にある。近隣エリアではリニア中央新幹線品川駅計画、羽田空港アクセス線構想などがあり、今後も発展していくポテンシャルが高い。

 一方で、現状では駅の乗り換え動線が錯綜しているほか、駅前広場へのバリアフリー動線が十分でないなど、都市基盤には課題を抱えている。歩行者ネットワークが弱いことや、駅前の歩行者滞留空間の不足も改善が求められている。

 区は8月、大井町駅周辺地域まちづくり方針(素案)をまとめた。広町地区を先行的にまちづくりのけん引エリアと位置付け、整備方針を盛り込む。広町地区再整備の効果を波及させて、周辺街区のまちづくりの機運を高めたい考え。

 大規模開発に合わせて、駅の改良や駅と街をつなぐ歩行者デッキの整備を取り組み方針に掲げている。区民説明会を経て、11月ごろに方針を正式策定する計画だ。

検討状況

◆まちづくり組織が発足
 地元権利者などによるまちづくり活動が見られるエリアもある。駅北東側の小規模飲食店が集中する地区(C地区)では、19年5月以降、区をオブザーバーとして、再開発を視野に入れた勉強会が複数回開かれている。20年2月以降は再開発を望まない団体も発足していることから、区は権利者間の議論を支えていく考えだ。

 広町地区と「立会道路」に挟まれた地区(E地区)でもまちづくり検討が始まっている。同地区は駐車場など低未利用地が多い一方で、広町地区と西口駅前広場、駅前中央通りをつなぐ重要なエリアに位置する。区の方針素案では、魅力的な空間として再整備し、回遊性を向上して連続したにぎわい空間を創出する必要性を示している。

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